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第36回定例会 大日運輸株式会社

門真ネット企業プレゼン会 Vol.32
ありがとうでみんなを笑顔に!
大日運輸株式会社  代表取締役 石井 肇 氏

大日運輸株式会社は主に建築材料を取り扱う運輸・倉庫・加工会社である。設立は昭和46年2月で現社長は2代目。運送業からスタートした会社であるが、商社出身の2代目社長の手腕により運送業と加工業をミックスさせたサービス製造業という新業態を展開しており、多方面から注目を寄せている。この業界初の取組が認められ、経済産業省が独自の技術・サービスで伸びる取組を行う様々な分野で活躍している事業者を表彰する「平成28年度はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された。経営理念は「“ありがとう”と言ってもらえる仕事を通じ豊かな暮らしを創造します」で、会社に関わる全ての人が幸せになるよう日々奮闘している。

今回はその先駆的取組である加工分野について。加工業に参入したのは、現場で加工が必要な外壁コーナー部材のプレカットのニーズに着目したことが始まりで、現在外壁材のコーナー部材と断熱材のプレカットを手掛ける。長年の経験が強みで、外壁加工には25年の実績がある。
まず、外壁材のコーナー部材について。これは住宅の躯体に取り付けるもので、商品名は「大日ECOコーナー」という。使用する材料には現場で出る端材を再利用しており、ECOな商品となっている。
加工技術の大きな特色には、「①全メーカーの「原料」や「含水率」の異なる外壁材に対応可能なこと。②他社には出来ない「柄合わせ(特殊意匠)」に対応可能なこと。」が挙げられ、他社には出来ない独自技術により差別化を図っている。そして、この商品は3つの費用削減「①工事端材の利用による“材料費用”の削減②工事端材の利用による“産廃費用”の削減③オーダーメイドコーナーにより“工事手間費用”の削減」に成功しており、顧客は勿論のこと、現場作業員も笑顔にする商品になっている。
次に、断熱材のプレカットについて。これは現場加工の時間削減に大いに貢献している。以前は現場で寸法を測って手動で加工し、施工していたので住宅一軒あたりの作業時間が8時間であったが、プレカットすることで1時間と大幅に短縮することができた。この事業は来る労働力不足時代においてニーズの高まりが見込まれる。
この断熱材のプレカットは加工工程の効率化が難しく、当初は加工に時間がかかり採算が合わない状態だったという。加工時間を3時間から目標の1時間までに短縮する道のりは次のとおり。
当初の加工は、紙出力の加工指示書、手計算、手入力、手梱包と手作業ばかりで非効率であったことから、機械による自動化での解消を図り、経済産業省のものづくり補助金で自動裁断機を導入。さらに、ラベルプリンターと自動梱包器を導入した。手計算であったところを、自動計算・自動表示し、断熱材の1枚切りを三枚切りへと改善。断熱材に直接手書きしていた指示内容もラベルプリンターから出るシールを貼るだけで、手梱包も自動梱包へと改善した。最新切断機導入によるデータ化で、自動計算、自動入力、切断能力向上し、加工を2時間まで短縮した。しかし、目標は1時間である。
次に、QC手法の一つである3現主義(現場・現実・現物)での解決を試みた。
神奈川県の先進事業所へ若手社員を派遣し、視察を実施。報告は、切断機が常に稼働しているというものだった。その事業所との違いは、断熱材の加工に仕分け係、切断係、梱包係&司令塔の3人を配置していたことであった。(当時、大日運輸では2人の配置)早速、自社で試すべく司令塔を1人配置し、作業動線を短縮・効率化したゴールデンエリアをつくったところ、動線18m/2人から9m/3人。鋸の稼働時間は40分/60分から55分/60分。人件費を加味しても、それを上回る生産率向上で1時間あたり2,500円の収入Upに成功した。若手社員の視察が実を結び、ようやく目標である作業時間1時間を達成したのである。
改善のポイントは、単位時間当たりの“プロダクツアウト”をいかに増やすか。“製造機械”を中心に、その“稼働率が最大”となるように“人・物・材料”の配置や作業手順を考える必要があり、そこに管理者(司令塔)の“現場力”が鍵となるとのこと。
今回の改善で、今までは新しい機械や設備を導入するだけで生産性が向上すると考えていたが、大切なのはやはり「人(司令塔)」であることを再確認することになった。
勿論、つくる手法だけに留まらず売る手法も抜かりはない。物流のトライアングル作戦と銘打ち、下請け仕事の地位を変革する。建材メーカーである”顧客”から安定的に仕事をもらうために、”顧客の顧客”を活用するのだ。当社のいい仕事ぶりをその”顧客の顧客”に満足してもらえれば、自ずと”顧客”は当社を手放せなくなるという構図が出来上がる。それは、”ありがとう”と言ってもらえる仕事をした結果なのである。
若手社員の教育について真剣に取り組み、改善活動には中心になって活躍させる。新卒者採用も継続的に行い、男性中心の運送業界にも女性を積極的に採用するなどし、会社の風通しを良くする。そして、朝起きたら会社に行きたいと思う会社を“大日村”と呼び、会社にひとつの世界を構築している。このような社員を大切にする体制で今後も“ありがとうでみんなを笑顔に”をキャッチフレーズに運送から倉庫保管、製造加工、販売を行う物流商社を目指していく。

【企業データ】
企業名:大日運輸株式会社
住所:〒571-0016 門真市島頭3-7-3
TEL:072-884-6111
URL:http://www.dun.co.jp/

門真市ものづくり企業ネットワークでは、毎月第4水曜日、定例会を開催しています。
定例会では、会員企業同士が深く理解しあい、共通の課題の解決や今後の新たな連携事業等のきっかけとするため、企業プレゼンを中心とした内容で進めています。また、定例会の様子も当HPで発信していきます。