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第32回定例会 株式会社京伸

門真ネット企業プレゼン会 Vol.25
「諦めずに夢に向かってチャレンジ!」
株式会社京伸 代表取締役社長 古川 治樹 氏

株式会社京伸は、平成20年に設立。主な事業内容は、精密板金、レーザー加工、各種製缶・組立、YAGレーザー機による溶接を行っている。 従業員3名でスタートしたが、設立直後、リーマンショックに直面する。日本経済が混乱する中、土曜日の夜に注文を受け、翌月曜の朝までに商品を納めるなど、納期が厳しい注文にも対応するなど、体力的にも経営的にも大変であったが、多品種・小ロット・短納期のコンセプトのもと取り組み、顧客を獲得していった。当時は大変であったが、逆に鍛えられたと古川社長は語る。

会社を設立してから5年目までは、家に帰るのは毎晩0時。そこから晩酌をして寝るという生活が続いた。体重は増え続け、80㎏代に。体は悲鳴を上げ、メタボリックシンドロームになってしまっていた。
転機が訪れたのは会社設立後6年目。夜22時頃に家に帰れるようになり、少し自分の時間をもてるようになった。時間を有効活用できないかと考え、ランニングを始めた。単に走るだけでは意味がないと考え、5月にランニングを始め、11月のフルマラソン完走を目標にランニングを続けた。走っているときは、今までのこと、これからのこと、ものづくりのこと、、、いろんなことを考える。そうして走っていたある日、ものづくり企業として何かを作り出したという強烈な衝動に駆られた。そこで、今、自分が行っているスポーツでビジネスチャンスは何かないかと考えた。2020年には東京オリンピック・パラリンピックがある。日本人の健康志向は増加している。マラソン人口は、平成16年の日本のフルマラソン完走者は約7万8千人であったが、平成26年には約30万人と大幅に増加している。特に、古川社長はマラソン人口の増加に着目した。マラソン人口の多くは市民アスリートである。しかし、市民アスリートには40代のランナーが多く、仕事と家庭を持つ中、限られた時間で効率的にトレーニングをできないかというジレンマがある。

そこで考えたのが、高地トレーニングを身近で行うことができるトレーニング機器の開発である。この機器は、畳1枚程の大きさのコンテナに人が運動できる空間を設け、気圧、酸素濃度、温度を調節することにより、低酸素環境を生み出し、心肺機能を強化することで、高地と同様のトレーニングを行うためのものである。高地トレーニングは、時間や費用の面から市民アスリートには程遠い存在であるが、この装置を活用することで、市民アスリートでも身近で高地トレーニングを体感できるようになる。また、この機器で、VO2MAX(運動中に体内に取り込まれる酸素の最大量)など、運動能力を数値化することにより、個々の運動能力の見える化を図りたいとも考えている。顧客は、市民アスリートが利用することの多い、市場規模3000億円で300万人以上の利用があるとも言われるフィットネスジムに加え、プロのスポーツ選手が利用するトレーニング施設や体育大学などを想定しているという。現在は、まだ試験用の試作機を開発した段階で、夢の実現への第1歩を踏み出したところであるが、2020年の東京オリンピック・パラリンピックまでの製品化を目標に、大学にも相談を行うなど開発を行っている。

同氏がここまで熱い思いを持つのには理由がある。トライアスロンの一つにスイム3.8㎞、バイク180.2㎞、ラン42.195㎞に挑戦するアイアンマンレースと呼ばれるレースがある。平成27年の世界選手権大会に日本人の82歳の稲田弘氏が5度目の挑戦をしたが、ゴールの数百m手前で意識朦朧となり、年代別世界記録に5秒足りなかった。しかし、稲田氏は諦めなかった。80歳を超える高齢でありながらトレーニングを続け、翌年の平成28年の同大会に参加し、見事世界記録を樹立したのである。その諦めずに夢を追いかける姿に古川社長は感銘を受け、自分の会社も、何事にも諦めずに夢に向かってチャレンジする企業であり続けたいと感じたという。現在は、社長自身もトライアスロンをしており、月に300㎞のランを行うまでになった。また、夢を追いかける人を支援したいと考え、ボクシングジムのスポンサーも行っている。熱い思いを持ち、トレーニング機器の開発という夢に挑戦し続ける同社に今後も注目したい。

【企業データ】
企業名:株式会社京伸
住所:〒571-0002 大阪府門真市岸和田2-1-10
TEL:072-887-6588
URL:http://www.f-kyo-shin.co.jp

門真市ものづくり企業ネットワークでは、毎月第4水曜日、定例会を開催しています。
定例会では、会員企業同士が深く理解しあい、共通の課題の解決や今後の新たな連携事業等のきっかけとするため、企業プレゼンを中心とした内容で進めています。また、定例会の様子も当HPで発信していきます。