門真ネット企業プレゼン会 Vol.24
「総合力と誠意をもって、品質管理が営業の糧になる」
元古鉄工株式会社 執行役員 総務部長 久 隆介 氏
元古鉄工株式会社は、昭和41年に創業した、総合建築業と建築鉄骨業を営む会社である。
「鉄工」と社名にあるが総合建築の設計監理はもちろんのこと、建築鉄骨の施工、建物の内外装まで総合的に建築を手掛けている。しかし、取引先の担当者から「鉄工所に建築を発注するということが社内の稟議で支障をきたすことがある」という声を受け、昭和49年には建設を専門とする元古建設株式会社を設立し、両輪で事業を展開している。
同社の強みは、何と言っても鉄工部門を自社で有していることと品質の高さである。
多くの建築会社では、鉄骨加工は外注するが、同社では、門真市内に2つの工場を有し、自社で、建築鉄骨の設計・加工、製缶等を行うことが出来る。設計から鉄骨の加工、現場施工までを一気通貫で行うことができ、客先の要望に応じ柔軟性の高い対応を行うことが可能となっている。
工場は、主に一次加工を行う本社工場と、大型の柱加工を専門とする東田工場から成り、新たな設備を多数導入して、高品質で生産性の高い製品づくりを行っている。また、鉄骨製作評価制度に基づく鉄骨製作工場のHグレードの認定を受けている。 鉄骨製作評価制度は、鉄骨製作工場が適正な品質の建築鉄骨を生産・供給するために必要な品質管理能力と技術力を保有していることを発注者に証明するための制度で、高い品質と技術力が公的に認められている。
工場設備は効率と品質を両立させるため、計画的に設備投資を実施している。例えば、従来は孔あけと切断に1人づつ配置しなければならなかった工程にそれらを複合、一体化して行えるNC6軸ボーリングマシン+鋸盤を導入。1人で操作できるようになっただけでなく、CADデータを転送できるので高精度自動加工も可能となった。また、CADデータを活用しケガキができる梁ロボ、その他には夜間無人で稼働できる溶接ロボットなどを導入し、生産性を上げている。
一方、塗装は機械に頼らずローラーやハケによる手塗りを採用。住宅に囲まれた立地のためスプレーガンの使用が出来なかったことが手塗りを採用した理由であるが、丁寧な仕上がりが結果として評判となっている。
このように人とモノを適材適所に配置することで、スピードの向上、ヒューマンエラーの削減、丁寧な仕上がりを実現しており、顧客から高く評価されている。
現在は順風満帆の同社であるが、厳しい経営環境に置かれた時期があった。
東田工場を新設した時期にリーマンショックが起き、結果、建築業界に不景気の荒波が襲い受注は激減。同社の経営も大きな打撃を受けた。 僅かな仕事を安値で取りあう状況下でも、同社は、創業以来の品質へのこだわりを貫いた。
品質管理体制を充実させ、品質保証が出来るように、手間もコストもかかる全品検査を従来通り続けたのである。
大赤字であったが、その貫徹した管理体制は、大手ゼネコンを「これほど検査の楽なところ はない」と言わしめるほどの評価を受け、大きな信頼となって現在の取引につながっている。
また、このような状況下でも設備投資は継続的に実施、従業員には技能を向上させるための研修を受講させるなど、苦しいときでも将来に繋がる投資を行ってきた。
結果、今では設備投資に合わせて採用も増え、若くエネルギッシュな血が会社を動かしている。社内は実に穏やかで、離職率は低く、定年まで働ける職場環境になった。そこには営業職を置かず、事務も現場も皆営業マンとして総活躍する柔軟な姿勢が、働きやすい場をつくっているのかもしれない。「投資なしで生まれるものはない」という、創業者の言葉が今も受け継がれている。
【企業データ】
企業名:元古鉄工株式会社
住所:〒571-0038 門真市柳田町30番28号
TEL:06-6909-8791
URL:http://www.genkotekkou.com/