門真市ものづくり企業ネットワーク:通称『門真ネット』は市内のものづくり企業の情報交流の場です

第30回定例会 北次株式会社

門真ネット企業プレゼン会 Vol.20
やりにくい仕事でもやっていこう!上手くいけばひとつの技術を得ることができる!
布もの工房 北次株式会社  代表取締役 北次 孝得 氏

北次株式会社は、1950年創業の縫製会社である。
プレゼンを行った現社長は3代目。創業当時は繊維製品の国内生産が盛んな頃で、量産ものの安定した注文を受けていたが、時代の移り変わりとともに、このような受注は海外に移転。海外との厳しい競争にさらされるなか、現在は、小ロット・多品種・多顧客へのきめ細やかな対応と「Made in Japan」の品質を武器に雑貨専門の縫製会社として、多くの顧客の要望に応えている。

そんな同社が顧客に選ばれる理由は大きく四つ。
一つ目は、「いろーんな商品が作れる」ということ。先代の「何でもやろう。」という意向により、寝具専業から服飾雑貨の取り扱いを始めた。
その後、顧客からの要望に応じて、キッチン・インテリアや、キッズ・ベビー、ペットグッズ、産業用の防刃服まで取り扱うものがどんどん拡大。結果、多くの顧客からの多品種の受注に対応できる数少ない会社として頼りにされる存在となっている。

二つ目は、試作品への対応力。様々な試作品を年間1000個以上製作。1日に平均すると3~5個の試作品に対応していることになる。
依頼の中にはアイデア段階ものも多いが、型紙起こしから試作までスピード感を持って対応。最近では、CADを導入し試作スピードはさらに向上している。

三つ目は、縫製だけではなく、プリントや刺繍等様々な2次加工にも一貫して対応できること。この加工は他社に委託しているが、客のニーズは非常に多様で、縫製以外の加工要望への対応は必須。
また、顧客への提案力も高まり大きな強みとなっている。

四つ目は、試作品作成から本生産まで一貫して行えること。試作の段階からロット数や納期に応じて生産工程、品質、コスト等を考えることが出来るため、顧客メリットの高い提案が可能。特に小ロットの新規アイテムにチャレンジしたい顧客への提案力は高い。

その結果、多くの顧客から、小ロット、多品種の注文を受ける業態となっている。現在10%を超える得意先はなく、1%以上が25社、1%未満が250社以上となっており、1社当たりの依存度は極めて低い。
このメリットとして、売上げの安定、利益率の向上、下請ではなく顧客とパートナーとして付き合うことが出来る一方で、業務量が膨大で管理が難しく、ミスを誘発する可能性が高くなってしまうのがデメリットである。
このデメリットを克服すべく、中小企業サポートセンターのアドバイスを受けつつ、5S活動を行うとともに、自動裁断機(CAM)や、プログラムミシンを導入。膨大な業務管理はIT化することで、業務の「仕組み化」をし、改善を図っている。

様々な取り組みを行ってきた同社であるが今後の課題は2つ。
一つ目の課題は、待ちの受注に加え、こちらから仕掛ける営業方法を確立すること。
学校法人や介護など共通のニーズがあると思われる業界に、顧客が求めるものを先回りして商品を検討し提案をしていきたいとのことである。

もうひとつの課題は自社製品の売上比率を高めること。
同社では自社製品の製造販売にも取り組んでおり、インターネットサイトを利用した直販も行っている。
また、ギフトショー等の展示会に出展して販路の開拓を目指しており、それがきっかけで百貨店にコーナーを設け販売した実績もある。しかし、現在の売上比率は10%~15%程度。自社商品の魅力を高める、また、販売する仕組みを構築し、この比率を30%程度にまで引き上げたいとのことである。
これらの課題は多忙を極める現状、また、パート主体の従業員構成では対応に限界があり、課題に取り組むことが出来る体制作りが急務となっている。
そこで、運命共同体の正社員の採用と人材育成を行うため、門真ネット人材部会の活動に参画。新卒の採用活動を行い、来春からは初めての新卒正社員の入社が決まった。
「これから運命共同体の社員を育て、より良い企業体系を目指したい。」という北次社長の挑戦に期待をしたい。

【企業データ】
企業名:北次株式会社
布雑貨専門の縫製工場。「布ものよろず相談承ります。」
住所:〒571-0033 門真市一番町15-7
TEL:06-6908-1594
URL:http://www.nunomonokobo.co.jp