日時: 2025年6月16日(月)17時45分~19時20分
場所:大日運輸株式会社(ハイブリット開催)
参加者:28名
(1) 開会
(2) 各社発表(㈱北次、大日運輸㈱、㈱一瀬製作所)
(3) 総評及び各社意見交換
(4) 閉会
●開催にあたり、門真ネット 牧野代表世話人より
全社員が「自分ごと」として業務改善に継続的に取り組むことの重要性が改めて強調されました。また、過去の担当者が行っていたからという理由で現状維持に陥りがちな状況に対し、「なぜなぜなぜ」と本質を問い直し、ゼロから作り直していく改善活動の必要性が示されました。
発表者1:北次株式会社
テーマ1:裁断工程の再カット原因削減とバイアス巻き不良数削減
1.1 裁断部の再カット原因と対策
■課題と原因:再カットの主な原因は、パーツが欠ける「上下掛け」と「途中掛け」に集中していることが判明しました。調査では月平均9件の再カットが発生していました。上下掛けは「生地が初めから欠けていた」イレギュラーなケース、途中掛けは「延反ミス」が主要原因と特定されています。
■具体的な対策
① 途中掛け対策: 延反作業中に奥の長いパーツの欠けに作業者が気づけるよう、印を入れる方法と、奥のパーツを手前に配置する方法を導入しました。
- 上下掛け対策: 延反後、短い欠けがないか横からチェックする管理を行い、裁断工程表への記録と確認ルールの徹底を図りました。
- 作業標準の徹底: 延反中の作業者の立ち位置を明確にし、生地のずれを即座に修正し、異常時は機械を停止するよう共有しました。
■成果:約1ヶ月間で再カットの発生件数が月平均9件から3件に減少(33%減)しました。これにより、裁断作業全体で月間約1時間から1時間半程度の時間短縮効果が得られたと試算されています。
テーマ2:バイアス巻きの不良数削減
■現状: 月平均で社外134.8枚、社内58枚、合計192.8枚の不良が発生しており、これは肌感覚として100枚に1枚程度が不良品であると推測されています。
■目標: 月間不良数を合計128.5枚に削減することを目指しています。
■無駄の分析: 加工、手待ち、動作、不良の4カテゴリーから、巻き直し、縫い直し、生地の切り直し、段取りずれ、ほどく作業、始末のやり直し、資材確認、使用書準備、セット作業、バイアステープや糸の無駄といった計7種類の無駄を特定しました。
■今後: これらの無駄に対する要因解析を進めていく予定です。バイアス巻き作業は手作業で、不良は検品工程で発見される仕組みです。
発表者2:大日運輸株式会社
テーマ1:シーラー塗布機の稼働と品質向上・省力化
■課題: 従来の塗布作業では塗装ムラやはみ出しといった品質問題が発生し、人手も要していました。新しく導入した塗布機を活用し、品質向上と、作業員を2名から1名に削減する省力化を目指しています。
■現状と問題点: 昨年11月に塗布機を導入し、今年3月から稼働実験を行っていますが、塗布は可能になったものの、最も大きな問題は乾燥トンネル内での乾燥が追いつかないことです。このため、後工程で手待ちが発生し、午前中で塗布機の稼働を停止せざるを得ない状況に陥っています。
■原因分析: 人員の数や熟練度、既存の設備、塗布方法、多品種によるタクトタイムのばらつきなどを要因として解析し、特に「作業員の数」と「塗布量のばらつき」が問題として挙げられています。
■今後の対策検討: 乾燥促進のため、熱源の増強(パネルヒーター追加)、送風の強化(扇風機追加)、トンネル内の密閉化、品物のセット方法(10~12本組みから2本組み、あるいは1本流し)の変更などが検討されています。現状ではパネルヒーター2台と扇風機追加で乾燥時間は8分から4分に短縮されましたが、まだ十分ではありません。
テーマ2:サンクスデスクの取り組み
■目的: お客様・倉庫との打ち合わせ、伝票入力などの業務を効率化し、作業分担を明確にすることです。
■主な取り組み:
- 3S(整理・整頓・清掃)の推進: 机周りの整理、キャビネットの撤去による通路拡大、黒丸の点による定位置管理の導入を行いました。
- 見える化と多能工化: 業務習得状況を可視化するため「星取り表」を作成し、誰がどの業務を担当できるかを一目でわかるようにしました。
- システム改善: 従業員からのヒアリングに基づき、システム会社に依頼して検索機能の向上や入力作業の簡略化など、実用的な改修を実施。こ■今後の展開: サンクスデスク全体で3Sと定位置管理を徹底し、星取り表を活用して業務の共有と継続的な改善を進めていく方針です。
発表者3:一瀬製作所
テーマ:データ入力作業時間短縮
一瀬製作所では、ベンダー(曲げ加工機)のデータ入力作業時間短縮をテーマに、進捗報告を行いました。
■現状の課題: ベンダーのデータ入力には「材質、パーツ、長さ、曲げ断面の寸法、角度」などを手動で入力しており、大阪工場では1分29秒を要しています。機械には自動計算機能があるものの、物理的に曲げられない順番を提示することが多く、現状では手動入力が主要な作業となっています。鳥取工場でも同様の理由で手動入力が多いことが確認されています。
■今後の検討課題:
- データ入力の高速化: 形状別のひな型作成や、分かりやすいフォルダー管理を導入することで、データ入力の効率化を図ることを検討しています。
- メーカーへの問い合わせ: 自動入力機能が適切に動作しない原因について、メーカーに問い合わせを行います、より効果的な活用方法や特定の形状での適用可能性について確認していく方針です。
■議論: コンピューター制御の機械が物理的に不可能な曲げ順序を提示することに対し、参加者からは疑問の声が上がりました。メーカーに原因や改善策を確認する必要性が強く指摘されています。
■閉会
今後の「1.5倍会」の開催日程として、7月14日、9月29日、10月20日が共有され(8月は休会)、引き続き楽しく活動していくことが呼びかけられ閉会しました。