門真市ものづくり企業ネットワークでは、毎月第4水曜日、定例会を開催しています。
定例会では、会員企業同士が深く理解しあい、共通の課題の解決や今後の新たな連携事業等のきっかけとするため、企業プレゼンを中心とした内容で進めています。また、定例会の様子も当HPで発信していきます。
これまでの定例会の様子は → こちら
門真ネット企業プレゼン会 Vol.14
強い企業体質をめざして
株式会社牧野精工 代表取締役 牧野 洋一 氏
牧野精工株式会社は昭和15年、現社長の祖父により「大阪ダイヤモンド工業所」として創業、昭和24年、現牧野精工株式会社を設立、溶接棒製造工程の超硬合金工具の製造販売を始める。
主に引抜ダイス等の製造を手掛け、ここから、現在の同社の強みである「内面加工・研磨」の技術を蓄積していく。
昭和37年に空圧用電磁弁のスリーブ・スプールの製造を皮切りに、現在は建設機械用油圧機器の製造をメインで手掛けている。製品は主に大手建機メーカーに納入しており、現在、従業員約100名(正規・非正規含む)、市内に4カ所の生産拠点を有し、着実に事業を拡大してきた。
主要製品は建機に用いられる油圧電磁弁ブロック、電磁リリーフ弁、水平制御弁等であり、建機を制御するためのいわば「油圧経路を切替えるスイッチ」の役割を果たす重要部品。同社はこれらの部品の加工から組立、検査までを一貫して行っている。
同部品のキモとなるのは実際に油圧を制御する「スリーブ」「スプール」と呼ばれる部品。
円筒状のスリーブの中をスプールが移動することにより、油圧経路をスイッチングする。これらの部材は形状は複雑かつ高精度を要求され、スプールにおいては真円度1ミクロン以下、円筒度1.5ミクロン以下の精度が必要となる。 極めて高圧な油圧がかかる同部品はすき間が広すぎても油漏れが生じ、逆に狭すぎても摺動しないか潤滑不足に陥る。絶妙なミクロンオーダーの加工が必要となる。
同社の高品質な製品を支える柱はまず、「全数検査」の体制。
24台もの運転スタンドがフル稼働し、製品は、実際に油圧装置に組み込まれすべてその性能が検査される。もう一つの柱が、ソフト面での品質向上、全員参加による改善活動の取組みである。
具体的には巡視、品質パトロール、定点監察、非定常管理、ミニ品質会議、手順書・要領書の見直し改訂、ポカヨケ、防犯カメラ1回、月の全体会議(1時間)などである。
定点管理では、普通でないことは全て報告するなど徹底している。そして、月の全体会議では派遣社員も参加させ、社内に隈なく情報が行き渡るよう努めている。
これらの取り組みは、幾度のクレームより生まれた。
そのクレームに繋がった要因の殆どは、小さな人為的ミスであったからだ。
“品質第一”、”品質問題の火を消すことが最優先課題”という社長の考えのもと、徹底した品質管理をし、小さなミスをも逃さないようにしている。
また、”同じことを続けていては、維持すらできない”と考え、積極的に社員教育に力を注いでおり、社内全員参加で月に1件以上のテーマを決めて改善活動を実施し、報告会にて成果発表を行う。
資格の面では、QC検定の取得促進に取り組んでおり、全員2級取得の目標を掲げて勉強会を実施している。
加えて、システムエンジニア育成の為、給与や家賃、費用は全て会社負担でシステムインテグレータに2年間出向させ、会社の弱点を補完する。これら改善活動の成果はもちろん一朝一夕に実を結ばない。人の成長(意識の変化)には時間がかかるからこそ、少しずつチャレンジしている。
これら長期にわたる意識改革の考え方は、設備投資にも息づいている。
今は必要性の薄いものであっても、将来必要になるかもしれないと判断すれば、設備を導入し試験する。それに伴って必要な技術もしっかりと育成している。
新しい仕事がある時にすぐ手を挙げられるように、常に先を見据えた行動で会社を牽引している。
牧野社長は、社長を継ぐまで電機メーカーで勤務していた。その会社で勉強し、経営者と成る為19年勤めた。
そこではありとあらゆる仕事を経験し、「責任のある仕事でようやく真の仕事を知ることが出来た」と言う。長期的な眼はここで培われたのかもしれない。
最後に、「仕事は一生懸命にして道が開けるとは限らないが、他人のせいにすることをしなくなる。もしそこで失敗したとしてもどこかで手を抜いたかもしれないと顧みることが出来る。だから精一杯の努力を尽くさなければならない。」と牧野社長の信念を語った。
それは、「仕事の神様は必ず存在する。その神様は必ず少なくとも一つの解決策を準備してくれている。その解決策は、本当に努力した人だけが見つけられる」と電機メーカーで勤めていた当時最も信頼を置いた先輩の言葉と行動から学んだことである。
出会いを大切にする牧野社長の経営哲学をプレゼン会の結びとした。
【企業データ】
株式会社牧野精工
MC加工、旋盤加工、内外径研磨加工、油圧性能検査、部品加工から完成品の性能検査まで社内で一貫して製造
住所:〒571-0043 門真市桑才新町8-16
TEL:06-6908-1871
URL:http://makino-seiko.co.jp/
門真ネット企業プレゼン会 Vol.15
アイデアとパワーでLED業界に新風を吹き込む!~自社ブランド確立への道程~
ヨーホー電子株式会社 管理部 部長 石堂 広志 氏
製造部 取締役製造統括部長 辻 充利 氏
ヨーホー電子株式会社は1998年の創業、プリント基板実装、製品組立、プリント基板の設計・製作、照明用省エネ光源、器具および照明システムの開発、製造、販売を主な業務とする。
創業後、大手電機メーカーの下請けとして、民生品(家庭用電子機器)向けの基板部品の受託生産を主体に事業を進めてきた。 しかし、2000年頃、同社に転機が訪れる。
これまで同社の柱であった大量生産型電子機器の大手生産拠点が海外に拠点を移した。
―このままでは生き残れない― 同社は、業態を産業機器メーカー向けの基板実装へシフトすることに決める。
しかし産業向け用途は多品種生産が求められ、工程や部品調達等生産体制を根本的に見直し、短期間で多品種少量生産に対応することに成功。当面の危機を乗り越えることに成功した。
さらに2007年には自社での基板設計業務を開始。企画・開発、部品調達から基板実装、製品組立までの工程を全て一元管理することで、多様な顧客ニーズの迅速に応えるとともに、納品までのリードタイムを大幅に短縮することに成功し、産業機器のみならず、照明機器やアミューズメント分野などにも事業領域を拡大した。
同時に市内に複数の生産拠点を整備し、生産力の強化と多品種少量生産のノウハウを蓄積していく。
そして次の一手は「自社ブランド」の創設であった。
2014年、同社初のLEDモジュール「輝烈」(きてれつ)の製造販売を開始する。「輝烈」は看板照明(店舗の看板・ファサード、標識等に用いられる)の光源となるモジュール。もっとも、同社ではLEDレンズモジュールの設計及びOEM生産を行ってきた経験により技術的蓄積を有してきた。
また当時、看板照明は省エネ、高保守性の観点から、LED化が進んでいたが、LED光は直進性が強く、明暗や色ムラが発生することが課題となっていた。(ムラを解消するためには、LED光源を出来るだけ多く設置し、光源から看板面までの距離を長くとる必要がある。)
「輝烈」はこれまでのモジュール設計ノウハウを存分に発揮、LEDに独自に設計した拡散レンズを搭載するとともに、LEDの本来の色と同じ黄色の板を素子の背面に設置(特許を取得)することで、高拡散、色ムラの低減を実現。従来の看板に比べ、モジュール数は約半数、看板の厚みは75mmの業界最薄を実現しつつ、色ムラの発生がほぼゼロという業界トップの性能を誇る。
同製品は業界から大きく評価され、自動車ディーラーや飲食店等の看板から道路標識に至るまで数多く受注、これまで約3,000箇所の導入実績を有している。
プレゼンでは「輝烈」の実物による実演があり、ムラのない発光に、参加者から感嘆の声が上がっていた。
現在、同社のLED関連の売上は約10%程度。今後これを倍増させることを当面の目標とする。
また、殺菌や植物育成用途に将来性が期待される紫外線LEDの分野にも進出し、自社製品のラインナップを拡充することで、さらなる経営基盤の強化に邁進する。
【企業データ】
ヨーホー電子株式会社
多品種少量に柔軟に対応。次の一手はLED照明事業の拡大
住所:〒571-0017 門真市四宮6-6-46
TEL:072-881-6355
URL:http://yoho-denshi.com/
また今回の定例会では、近畿経済産業局より講師をお招きし、この7月に施行された「中小企業等経営強化法」について説明を頂きました。
中小企業庁HP 経営サポート「経営強化法による支援」 → http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/
次の定例会は、9月28日(水)18:30より、門真市中小企業サポートセンター分室にて開催致します。
※8月は総会を開催したため、定例会の開催はありませんのでご注意ください。
また、当ネットワークの加入も随時受け付けていますので、お気軽に門真市産業振興課までお問い合わせください。
申込み方法などご案内はこちら → 加入のご案内