門真ネット4月定例会報告(平成29年4月26日(水)18:30~)

門真市ものづくり企業ネットワークでは、毎月第4水曜日、定例会を開催しています。
定例会では、会員企業同士が深く理解しあい、共通の課題の解決や今後の新たな連携事業等のきっかけとするため、企業プレゼンを中心とした内容で進めています。また、定例会の様子も当HPで発信していきます。

これまでの定例会の様子は → こちら

門真ネット企業プレゼン会 Vol.28
納期の短縮へ向け取り組みを実施!
オーエム工業株式会社  代表取締役 奥山 忠義 氏

オーエム工業株式会社は、平成元年に設立。鉄、アルミ、ステンレス等の金属製品への塗装を主な事業内容とする企業である。同社は平成28年に長さ6,000mm、幅2,800mm、高さ2,500mmの大型の立窯式乾燥炉を導入、さらにライン乾燥炉を備えており、その利点を活かしサイズ、品種、ロットを問わずにオーダーに対応できることをセールスポイントとしている。

 

奥山社長が乾燥炉の大型化を決めたのは顧客が求める短納期と高品質を実現するため。結果、大きいサイズの品物を焼付塗装することを可能にするとともに、立窯内部分割化による省スペース焼付、立窯内部分割化による異なる塗料での同時焼付、対応温度の高温化による粉体塗装への対応などの取り組みを行うことで短納期・高品質を実現している。

 

当時立窯の長さは4,500mmであり、焼付塗装できない場合は自然乾燥塗装で対応していたが、塗膜が硬化するまでに約72時間(実際には強制乾燥で約半日ほど)かかってしまう欠点があった。近年、塗装物のサイズが大型化し、従来の立窯では焼き付けできない品物が増えてきため、長さ4500mmの立窯を6000mmへと大型化することを決断。より多くの品物に対応できるようになり、焼付塗装は約1時間で済むことから、納期の短縮につながったという。また、産業機械のフレーム等の塗装の際に、フレームの大小を問わず、塗装方法を焼付塗装に統一することが可能となり、塗装方法の違いによる色ブレを抑えることができるようになった。また、導入した立窯は内部分割の機能を有しており、小さな品物や小ロットの発注に対しては必要なスペースのみを加熱することで立窯全体の温度が上がるまで待つ必要がなくなったことから、納期の短縮だけでなく省エネにもつながった。
立窯の内部分割機能は異なる塗料での同時焼付も可能にしている。焼付塗装に使用する塗料は、種類によって硬化温度が異なるため、硬化温度が異なる品物を同時に焼付できないが、立窯の内部を分割することにより、異なる硬化温度の塗料でも同時に焼付が可能となった。このことにより、多くの商品への対応ができ、納期の短縮につながった。


さらに、新しい立窯は200℃を超える温度まで対応でき、ライン乾燥炉による粉体塗装だけではなく、立窯での粉体塗装を可能にした。粉体塗装は1回の塗装で30~150ミクロンの膜厚が得られるため、指定された塗装被膜が厚い場合にも短時間で対応できる。また、溶剤塗装であれば冬季は表面が乾きにくく、重ね塗りをすると塗料が垂れることがあるが、粉体塗装は静電気で粉を品物に付着させるため、塗料が垂れることがなく高品質化に繋がるとともに季節を問わずに作業ができるメリットがある。
塗装において大敵となるゴミ等の粉塵が商品についてしまうのを避けるため、毎朝掃除を行い、必要に応じて床に水をまいてから塗装を行う等の細やかな対策を行い品質の維持・管理にも努めているという。
こうした取り組みにより、同社では、新たに2社の取引先が生まれ、既存の取引先においても新たな受注の増加につながったと奥山社長は語る。
納期の短縮と品質維持にこだわり、成長を続ける同社に今後も注目したい。

 

【企業データ】
企業名:オーエム工業株式会社
住所:〒571-0017 大阪府門真市四宮3-9-28
TEL:072-883-6862

門真ネット企業プレゼン会 Vol.29
「表面処理で日本の基幹産業を支える!」
パーカー加工株式会社 門真工場  営業 阪野 清 氏

パーカー加工株式会社は昭和23年創業以来、表面処理で鉄鋼、自動車、電機、鉄道などの基幹産業からITなど最先端産業に至るまで、ものづくりに欠かせない技術を提供し続けている。本社を東京日本橋に置き、表面処理剤最大手の日本パーカーライジング株式会社を中核とするパーカーグループの主要企業として国内15事業所、海外1事業所(ベトナム)を有する。その中で門真工場は地域産業に根差すことが使命となっている。
門真工場は江端町にあり、従業員数は37名。昨年、城東区の古市工場と統合したばかりである。同社の強みは化成と塗装を一括して行い、品質向上やコスト削減を提供することが可能なパーカープロセスである。提供までには、顧客の希望(機能・性能・コスト)をヒヤリングし、試作を繰り返し行う。また、最小ロットは、最低加工賃さえあえば1つから受けることができる。


化成処理とは、金属の上に金属膜をつくる金属めっきと違い、金属の上に処理剤を作用させて化学反応を起こさせ被膜をつくるもの。これにより元の素材とは違った性質を与え、防錆(耐食性)や塗装下地(密着性)、摺動部の初期なじみ等に使用する。
コーティング(塗装)は、製品の外部に施し意匠性や耐食性を高める一般塗装と機械部品の中に固体潤滑処理等を施す機能性塗装があり、得意とするのは後者の機能性塗装である。これらは使用目的と使用環境によって仕様を選択する。機能性塗装は、身近なもので言うとフライパンにフッ素塗装をするイメージ。これによりフライパンに滑り性や離型性、耐熱性を持たせるが、この技術を応用して自動車関連部品やOA機器部品、精密機器部品、土木・建築材に使用される。例えば、明石海峡大橋や大阪市営地下鉄では、その優れた防錆性や防汚性の技術を高く評価されている。我々の生活をあらゆるところで支えているのだ。営業品目は、リン酸亜鉛(大物小物)・リン酸マンガンを始め、アルミ(三価クロム)・真鍮(ブラスボンド)等で鉄鋼・非金属のあらゆる素材を対象とする。業種別の売上高は、全社で輸送機器の割合が高いが、関西では建材や交通土木、機械プラントが高くなっている。

 

門真工場独自の取り組みとしては「見える化の推進」がある。古市工場と統合し、扱う商品数だけでなく、処理数や従業員数が増加。また、顧客による工場見学の機会も増えていることから取り組みが始まった。目標は、「誰がやっても、誰が見ても一目でわかるような工場。」各部署で手作りの掲示を作成し、次のような取り組みを行っている。
品質管理課では、過去のトラブルや難しい仕事を文字だけでなく写真でわかりやすく掲示。生産管理課では、「いつ入荷し、いくつ出荷するか」の作業予定表を掲示。また、薬液管理は、狙い値や規定範囲を薬液ごとに図で示す。工務課では、4S3ム、排水管理、啓蒙活動を行い、顧客から預かった品物には状態表示の札を提げる。


また、「見える化の推進」に加え、改善提案カードを投函するポストを設置している。社員一人につき月に2回投函することを目標にしており、昨年(平成28年度)は600回の改善を行った。その改善効果や提案数によって上位5名を毎年表彰している。 社員にとってこれら会社改善の取り組みは身に付いているものであり、自主的に努めているものだという。意見を提案する機会があり、「会社をより良くしたい」という熱い想いを自然と持てる会社風土がそうさせたのかもしれない。
規模が大きくなって新しい門真工場の今後に期待したい。

 

【企業データ】
企業名:パーカー加工株式会社 門真工場
住所:〒571-0012 門真市江端町1-19
TEL:072-881-3401
URL:http://www.parker-kako.co.jp/index.html


門真市ものづくり企業データベース

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申込先:門真市市民生活部産業振興課
TEL:06-6902-5966

FAX:06-6905-3264

E‐mail:sim01@city.kadoma.osaka.jp


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