門真市ものづくり企業ネットワークでは、毎月第4水曜日、定例会を開催しています。
定例会では、会員企業同士が深く理解しあい、共通の課題の解決や今後の新たな連携事業等のきっかけとするため、企業プレゼンを中心とした内容で進めています。また、定例会の様子も当HPで発信していきます。
これまでの定例会の様子は → こちら
門真ネット企業プレゼン会 Vol.20
やりにくい仕事でもやっていこう!上手くいけばひとつの技術を得ることができる!
布もの工房 北次株式会社 代表取締役 北次 孝得 氏
北次株式会社は、1950年創業の縫製会社である。
プレゼンを行った現社長は3代目。創業当時は繊維製品の国内生産が盛んな頃で、量産ものの安定した注文を受けていたが、時代の移り変わりとともに、このような受注は海外に移転。海外との厳しい競争にさらされるなか、現在は、小ロット・多品種・多顧客へのきめ細やかな対応と「Made in Japan」の品質を武器に雑貨専門の縫製会社として、多くの顧客の要望に応えている。
そんな同社が顧客に選ばれる理由は大きく四つ。
一つ目は、「いろーんな商品が作れる」ということ。先代の「何でもやろう。」という意向により、寝具専業から服飾雑貨の取り扱いを始めた。
その後、顧客からの要望に応じて、キッチン・インテリアや、キッズ・ベビー、ペットグッズ、産業用の防刃服まで取り扱うものがどんどん拡大。結果、多くの顧客からの多品種の受注に対応できる数少ない会社として頼りにされる存在となっている。
二つ目は、試作品への対応力。様々な試作品を年間1000個以上製作。1日に平均すると3~5個の試作品に対応していることになる。
依頼の中にはアイデア段階ものも多いが、型紙起こしから試作までスピード感を持って対応。最近では、CADを導入し試作スピードはさらに向上している。
三つ目は、縫製だけではなく、プリントや刺繍等様々な2次加工にも一貫して対応できること。この加工は他社に委託しているが、客のニーズは非常に多様で、縫製以外の加工要望への対応は必須。
また、顧客への提案力も高まり大きな強みとなっている。
四つ目は、試作品作成から本生産まで一貫して行えること。試作の段階からロット数や納期に応じて生産工程、品質、コスト等を考えることが出来るため、顧客メリットの高い提案が可能。特に小ロットの新規アイテムにチャレンジしたい顧客への提案力は高い。
その結果、多くの顧客から、小ロット、多品種の注文を受ける業態となっている。現在10%を超える得意先はなく、1%以上が25社、1%未満が250社以上となっており、1社当たりの依存度は極めて低い。
このメリットとして、売上げの安定、利益率の向上、下請ではなく顧客とパートナーとして付き合うことが出来る一方で、業務量が膨大で管理が難しく、ミスを誘発する可能性が高くなってしまうのがデメリットである。
このデメリットを克服すべく、中小企業サポートセンターのアドバイスを受けつつ、5S活動を行うとともに、自動裁断機(CAM)や、プログラムミシンを導入。膨大な業務管理はIT化することで、業務の「仕組み化」をし、改善を図っている。
様々な取り組みを行ってきた同社であるが今後の課題は2つ。
一つ目の課題は、待ちの受注に加え、こちらから仕掛ける営業方法を確立すること。
学校法人や介護など共通のニーズがあると思われる業界に、顧客が求めるものを先回りして商品を検討し提案をしていきたいとのことである。
もうひとつの課題は自社製品の売上比率を高めること。
同社では自社製品の製造販売にも取り組んでおり、インターネットサイトを利用した直販も行っている。
また、ギフトショー等の展示会に出展して販路の開拓を目指しており、それがきっかけで百貨店にコーナーを設け販売した実績もある。しかし、現在の売上比率は10%~15%程度。自社商品の魅力を高める、また、販売する仕組みを構築し、この比率を30%程度にまで引き上げたいとのことである。
これらの課題は多忙を極める現状、また、パート主体の従業員構成では対応に限界があり、課題に取り組むことが出来る体制作りが急務となっている。
そこで、運命共同体の正社員の採用と人材育成を行うため、門真ネット人材部会の活動に参画。新卒の採用活動を行い、来春からは初めての新卒正社員の入社が決まった。
「これから運命共同体の社員を育て、より良い企業体系を目指したい。」という北次社長の挑戦に期待をしたい。
【企業データ】
企業名:北次株式会社
布雑貨専門の縫製工場。「布ものよろず相談承ります。」
住所:〒571-0033 門真市一番町15-7
TEL:06-6908-1594
URL:http://www.nunomonokobo.co.jp
門真ネット企業プレゼン会 Vol.21
オーダーメイド工業用ブラシを1個から製作
株式会社共伸技研 代表取締役 加藤 克典 氏
株式会社共伸技研は、昭和57年に門真市で創業し、以来、複雑形状な工業用ブラシを主に製造・販売する企業。
製造するブラシはチャンネルブラシと呼ばれ、コの字型に曲げた金具の間に、2つ折りにした毛材を針金で埋め込み製造する。
植え込み式に比べて、植毛密度の濃いブラシができ、高いブラッシング効果や異物を通さない、ふさぎ効果が高いといった特徴があり、①きれいにする、②けずる・みがく、③ふさぐといった用途で使用されている。
基本は直線状だが、ロールブラシ、内巻ブラシ、カップブラシなどさまざまな形状にも加工しており、オーダーメイドで小ロット・多品種、受注後5日間~2週間の短納期で販売できる体制を備えており、現在の顧客数は3000社以上、ブラシの種類は年間9000種以上にも及ぶ。
そのブラシのほとんどが1~10個の小ロットの受注である。
当然のことながら、材料、形状、使用する機械、製造プロセスはロット毎に異なり、生産管理や納期管理は煩雑なものとなっていた。
生産については受注状況により生産量が変動するため、ライン単位で日々煩忙と閑散が繰り返され生産にムラがあることが大きな課題となっており、この生産のムラを無くし、コスト競争力と利益率向上を図っていくことが急務であった。
そこで行ったのが、独自の生産管理システムの構築である。
自社の生産工程を川上、川中、川下の3工程に区分し、それぞれの工程で行うべき作業を工場の各所に設置したモニターで表示。その作業を納期の順に赤、黄、青で色分けし、作業の優先順位を明確にした。
現場では、その日のうちに作業を終えないと納期遅延が発生する赤から順に作業を行うことを徹底し、納期遅延を撲滅するとともに、赤の作業が多くありボトルネックとなる工程に赤が無くなった工程から応援を出すなど、多能工化した従業員をフル活用することで生産性を大幅に向上させている。
また、製造現場だけでなく営業も生産状況が把握できるため、自社の稼働状況を勘案しつつ受注活動を行うことができ、無理な受注も減少している。
結果として、納期順守による顧客からの信頼性の向上や、生産性の大幅な向上による残業代等の経費の削減など、会社の競争力が大きく向上している。
さて、プレゼンを行った加藤社長は平成12年に入社し、平成20年に2代目として社長に就任。直後にリーマンショックに直面した。
影響を受け、売上高は前期比約40%減、会社は大赤字という危機に陥った。そのような状況から従業員と共に、会社の競争力強化に取り組んできた。
今後も日々の改善やIT技術を活用した改革を推し進め、成長を遂げる同社に注目したい。
【企業データ】
企業名:株式会社共伸技研
住所:〒571-0017 大阪府門真市四宮5-6-33
TEL:072-885-4344
URL:http://www.kyoushingiken.co.jp/
次の定例会は、12月21日(水)18:30より、門真市中小企業サポートセンター分室にて開催致します。
また、当ネットワークの加入も随時受け付けていますので、お気軽に門真市産業振興課までお問い合わせください。
申込み方法などご案内はこちら → 加入のご案内
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