門真ネット企業プレゼン会 Vol.10
~「業務ローテーション」を活用した社内活性化、技術継承の取組み~
フジテック株式会社 常務取締役 藤原 洋 氏
フジテック株式会社は、昭和35年の創業以来、大手家電メーカーの協力会社として、照明器具部品(吊具・ガードなど)の製造を行っている。
同社の持つ高い板金プレス・組立加工技術により生産される高品質な製品は、取引先の厚い信頼を得てきた。
最近のめまぐるしく変更する情勢を踏まえて、未来へ向けて大きく進もうと全スタッフとともにあいよかけよで邁進している。
今回プレゼンを実施した藤原常務は創業者から数えて4代目。
常務はこの局面の陣頭指揮を執り、社内体制の強化を図っている。特に「技術の幅を広げること」そして「人材の育成」に積極的に取り組んでいる。今回そのエピソードを一部ご紹介いただいた。
ある日、同社にあるオーダーが舞い込んだ。
具体的には、純アルミの手曲げ加工で、公差はかなり厳しい。同社では鉄やステンレスの経験は豊富であるが、今回の加工仕様に取り組むのはほぼ初めて。 しかし加工できるところがないのか、相手方はどうしても「助けてほしい」とのこと。
悩んだ藤原常務ではあったが、自社の「技術の幅」を広げるチャンスととらえ、受注を決めた。
しかし、待っていたのは現場からの猛反発。感情も入り混じりながらの議論を重ね、常務は「今回は半分不良をだしても構わない。とにかくチャレンジしてみよう。」と説得し、加工にとりかかるが、やはり失敗の連続。現場一体となり試行錯誤を重ね、なんとか納品に成功したが、不良品の山が築かれた。
しかし受注を重ねるごとに、現在は軌道に乗り、技術が蓄積しつつあり、常務は「今までやってきたことを完全に逸脱することは無理でも、「技術の幅」は広げることはできる。
それは会社としての対応力向上に資するだけでなく、社員にとっても貴重な経験になる。このことは、今後必ずフジテックの大きな財産となる」と大きな手ごたえを感じている。
次に、同社のユニークな取組みである「業務ローテーション」を積極的に活用した人材の育成についてお話いただいた。
同社の製造セクションは「板金部門」「組立部門」「品質保証部門」の3つがある。
現在、品質保証部門に在籍する中堅社員のAさんは、長らく物流・出荷部門で従事していた。常務は昨年、彼を品質保証部門の検査員に抜擢。もちろん検査の知識・経験もゼロ。
常務や周囲の積極的なフォローもあり、少しずつ技能を習得する。一方で、彼はこれまで、出荷部門としてクレームや要望等の「窓口」となり、客先の「生の声」を聴いてきており、相手の立場に立った品質に対する考えもよく理解している。 この経験と本人の努力により一気に開花、品質保証部門の主戦力として活躍することになった。
同社は部門内でも多能工化を積極的に進め、例えば、これまでプレスブレーキのみを扱っていた社員をプレス金型も使えるようにといった具合に、持ち場のローテーションを積極的に導入し、お互いの業務を理解し合い、今後の職務に活かす取組みを行っている。
「地域・社員の子ども達が誇りを持てる会社であり続ける」ことを理念に掲げる同社は、従業員こそ会社の財産ととらえ人材の育成や技術の幅を広げることで、自らの変革期を乗り越えていく。
【企業データ】
フジテック株式会社
金属加工を通じて、お客様に信頼される仕事をし続けます
住所:〒571-0002 門真市岸和田2-2-23
TEL:072-881-5401