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第34回定例会 オーエム工業株式会社

門真ネット企業プレゼン会 Vol.28
納期の短縮へ向け取り組みを実施!
オーエム工業株式会社  代表取締役 奥山 忠義 氏

オーエム工業株式会社は、平成元年に設立。鉄、アルミ、ステンレス等の金属製品への塗装を主な事業内容とする企業である。同社は平成28年に長さ6,000mm、幅2,800mm、高さ2,500mmの大型の立窯式乾燥炉を導入、さらにライン乾燥炉を備えており、その利点を活かしサイズ、品種、ロットを問わずにオーダーに対応できることをセールスポイントとしている。

奥山社長が乾燥炉の大型化を決めたのは顧客が求める短納期と高品質を実現するため。結果、大きいサイズの品物を焼付塗装することを可能にするとともに、立窯内部分割化による省スペース焼付、立窯内部分割化による異なる塗料での同時焼付、対応温度の高温化による粉体塗装への対応などの取り組みを行うことで短納期・高品質を実現している。

当時立窯の長さは4,500mmであり、焼付塗装できない場合は自然乾燥塗装で対応していたが、塗膜が硬化するまでに約72時間(実際には強制乾燥で約半日ほど)かかってしまう欠点があった。近年、塗装物のサイズが大型化し、従来の立窯では焼き付けできない品物が増えてきため、長さ4500mmの立窯を6000mmへと大型化することを決断。より多くの品物に対応できるようになり、焼付塗装は約1時間で済むことから、納期の短縮につながったという。また、産業機械のフレーム等の塗装の際に、フレームの大小を問わず、塗装方法を焼付塗装に統一することが可能となり、塗装方法の違いによる色ブレを抑えることができるようになった。また、導入した立窯は内部分割の機能を有しており、小さな品物や小ロットの発注に対しては必要なスペースのみを加熱することで立窯全体の温度が上がるまで待つ必要がなくなったことから、納期の短縮だけでなく省エネにもつながった。
立窯の内部分割機能は異なる塗料での同時焼付も可能にしている。焼付塗装に使用する塗料は、種類によって硬化温度が異なるため、硬化温度が異なる品物を同時に焼付できないが、立窯の内部を分割することにより、異なる硬化温度の塗料でも同時に焼付が可能となった。このことにより、多くの商品への対応ができ、納期の短縮につながった。
さらに、新しい立窯は200℃を超える温度まで対応でき、ライン乾燥炉による粉体塗装だけではなく、立窯での粉体塗装を可能にした。粉体塗装は1回の塗装で30~150ミクロンの膜厚が得られるため、指定された塗装被膜が厚い場合にも短時間で対応できる。また、溶剤塗装であれば冬季は表面が乾きにくく、重ね塗りをすると塗料が垂れることがあるが、粉体塗装は静電気で粉を品物に付着させるため、塗料が垂れることがなく高品質化に繋がるとともに季節を問わずに作業ができるメリットがある。
塗装において大敵となるゴミ等の粉塵が商品についてしまうのを避けるため、毎朝掃除を行い、必要に応じて床に水をまいてから塗装を行う等の細やかな対策を行い品質の維持・管理にも努めているという。
こうした取り組みにより、同社では、新たに2社の取引先が生まれ、既存の取引先においても新たな受注の増加につながったと奥山社長は語る。
納期の短縮と品質維持にこだわり、成長を続ける同社に今後も注目したい。

【企業データ】
企業名:オーエム工業株式会社
住所:〒571-0017 大阪府門真市四宮3-9-28
TEL:072-883-6862