日時: 2025年9月29日(月)17時45分~19時15分
場所:北次株式会社(ハイブリット開催)
参加者:21名
(1) 開会
(2) 各社発表 【㈱一瀬製作所、北次(株)、大日運輸(株)】
(3) 総評及び各社意見交換
(4) 閉会
「各社発表内容」
〇㈱一瀬製作所:
テーマ:「曲げ加工における入力時間の削減」
- 「課題」: 作業工程を分析した結果、機械への「入力時間」が全体の42%を占めており、生産性向上の最大のボトルネックであることが判明した。この入力時間の削減が最重要課題と特定された。
- 「現在の取り組み」: 入力の手間を削減するため、製品の長さ別にパラメーターをまとめたリストを作成。これにより、都度入力する手間を省く改善を進めている。今後は、この改善策が実際にどの程度の時間短縮に繋がるかを定量的に検証する計画である。
- 「今後の課題」 前回指摘された自動入力や機械システムのバージョンアップに関するメーカーへの確認、および機械パラメーターの保証についての調査は継続中であり、次回会合で報告される予定。

〇北次(株)
テーマ①:「再カット原因の生地の汚れや傷を減らす」
- 現状分析: 量産カット後に発生する再カットの要因を分析した結果、「生地の傷・汚れ」が月平均13件と最も多く、主要な原因となっている。これまでの改善で「パーツの欠け」は月平均9件から5件へ削減に成功しており、次のターゲットとして傷・汚れ問題に着手した。原因として、仕入れ段階で既に付着している外部要因である可能性が高いと推測されている。
- コストへのインパクト: 1件の再カットには約15〜20分の裁断作業時間が必要となるだけでなく、材料の探索、デリバリー、後工程である縫製部の手待ちなど、複数の部署に波及的なコストロスを生んでいる。参加者から、年間では500万円から600万円をドブに捨てている状態という厳しい指摘があった。問題の経済的な損失が浮き彫りになった。
- 議論された対策
- 仕入れ先へのフィードバック強化: 発生した不良の件数やそれに 伴う損失額をデータとして可視化し、仕入れ先メーカーに提示いすることで、品質改善を強く働きかけるべきとの意見が出された。
- 検品プロセスの見直し: 生地受け入れ時の検品体制や、メーカー側での不良箇所のマーキング方法をより分かりやすくしてもらうよう要請するなど、初期段階で不良を発見する仕組みの構築が提案された。
テーマ②:「バイアス巻の不良枚数を減らす」
- 現状分析: バイアス(生地の端をテープで巻く作業)工程における不良率は社内外平均で2.25%。不良内容の内訳は、テープが生地から外れる「外れ」が29.4%、縫い目がテープから落ちる「目落ち」が13.9%を占めている。
- 実施された改善策と成果:
- 「外れ」対策: 作業手順や注意点をまとめたマニュアル動画を作成し、作業者間で共有。
- 「目落ち」対策: 前工程(縫い合わせ)での注意点を文書化して配布。さらに、生地の送りを安定させ、固定力を高める新しい「ラッパ」(ミシンのアタッチメント)を開発中。
- 結果: これらの取り組みにより、全体の不良率は4-5月の2.31%から6-7月には1.9%へと改善した。不良率低下の明確な因果関係は特定できていないものの、動画共有などを通じた作業者の意識向上が貢献したと推測される。
- 今後の方向性: 意識向上による効果は一過性になる危険性があるため、開発中の新しいラッパのように、作業者の技量に依存せず品質を安定させる「仕組み」の構築が、持続的な改善には不可欠であると確認された。

〇大日運輸(株)
テーマ:「シーラー塗装機の稼働で品質向上&省力化」
- 発生した課題: 塗装工程において、夏場の気温上昇が原因で液性のシーラー液の硬化が異常に早まる問題が発生。朝7時に稼働開始後、わずか3時間後の10時過ぎには液が固まり使用不能となり、その清掃に通常(10分弱)の3倍以上となる30分以上を要していた。これにより、生産計画に大幅な遅延が生じた。
- 対策と成果:
- この時間ロスを削減するため、モータースポーツの迅速な作業交換に着想を得た「ピットイン方式」を導入。具体的には、シーラー液を入れる桶にビニールを巻いて使い捨てにし、硬化したロールコーターは予備機と即座に交換する手順を確立し、交換・清掃にかかる時間を10分程度にまで短縮することに成功した。
- シーラー液を使用する桶の周囲を氷や保冷剤で冷やす、硬化反応そのものを遅らせるための物理的な対策案が複数提案された。

〇総括コメント
石井社長
物価が上昇する中で、社内の無駄をなくしコストを下げることが利益確保に繋がる。北次さんの事例は「仮に年間600万円のコストをドブに捨てている」状態であり、これを回収し、社員の賃金UPの取り組みに貢献するのでは。
北次社長
自社とは異なる視点(「鉄の材料ではどうなのか」など)からの意見が得られ、問題解決のヒントになる。この場は非常にありがたい。再カット問題は生産管理の遅延にも繋がるため、解決は急務であると思う。